キスする街角感想☆ ネタバレにご注意ください

2018年6月5日

キスする街角の感想です

キスする街角　西炯子先生　著

ネタバレありの感想ですので、ご注意ください。

　別窓で記事がでます

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ネタバレ大丈夫ですか？

西炯子先生の短編集、4話とも「キス」がテーマになっているのですね。

どのお話も独特の雰囲気が素敵で、読み応えのある1冊でした！！

第1話「手紙」

中三になる小春の祖母の容態が、急にわるくなってしまいます。

たまたま古い二通の手紙を見つけた小春。数日後、祖母は亡くなってしまいました。

手紙を読んだ小春は、祖母が祖父以外の男性を忘れられずにいたことを、知ってしまいます。

誰にも言えず、心が苦しい小春は両親に嘘をついて、相手の男性のところへ向かうのです。

年老いたその男性が、どれだけ祖母を想い続けてきたか、小春は知って涙します。

そして祖父の「秘密」も知った小春は、人が人を想う気持ちについて学ぶのでした―――

台湾まで行く行動力が凄いですし、精神面でも小春はとても大人だなぁ、と思います。

切なくて、でもすごく美しいお話でした。

第2話「犯人」

昼休みに居眠りをしていたほのか。誰かにキスされたことに気づいて目覚めます。

手がかりはリンゴの香りだけ。ほのかは幼なじみのカンタに相談しました。

しかし、ほのかにキスをした犯人は、実はカンタなのです―――

読んでいるこちらとしては、キスしたのはカンタだとすぐに予想ができるからこそ、

じれったくてキュンキュンします！！甘酸っぱい可愛らしい恋物語でした。

第3話「異常」

中学生になってから、周りが恋愛のことや性のことばかり考えるようになった気がして、

美々子は嫌気が差しています。

同じ放送委員でクラスメイトの風岡のことを、スケベだと嫌っていた美々子ですが、

頭を打って倒れそうになったところを助けてもらい、気になる存在に。

恋する気持ちを美々子は知ったのでした―――

こちらのお話も、とても可愛らしいお話だったなぁと思います。

美々子の家族が素敵で、思わずジーンとするシーンもありました。

第4話「前髪」

過去のトラウマのせいで顔を髪で隠している十六歳の未来には、ちいさい頃からの病気がありました。

両親が急に「今年の夏休みは海のそばで家族ですごそう」と言い出したため、

もうあんまり長くいきられない…と思っています。

未来は、一度でいいから恋をしたい、そう願い一念発起。

昭彦という男の子と想いが通じ合うものの、もうすぐこの世からいなくなる自分が、

恋なんかしてはいけなかった……と後悔しました。

ところが、実は病気は治っていて、死ぬ心配など必要なかった未来。

髪を上げて昭彦と再会するのです―――

最後、すっかり明るく美しくなっている未来に、嬉しくなりました。

きっとこの後は素晴らしい毎日になっていくのだろうなぁ、なんて想像できてワクワクします！！