プレミアCheese!4月号の キスより先に、始めます 最終話の感想です
キスより先に、始めます 最終回 わたなべ 志穂 先生 著
ネタバレありの感想です。ご注意ください!
女子大生の 八重子は、ある日 交通事故に遭い、神様から 赤ちゃんの自分(ヤエちゃん)を授けられました。
初の育児に悪戦苦闘の八重子を支えてくれた 桐島くんを好きになり、やっとの思いで 両想いに!!
八重子と桐島くんの間で ヤエちゃんは元気に成長していきます。
ところが 育児をするなか 突然、八重子は 自身の幼い頃の記憶に襲われ 苦しむようになってしまいました…。
実の母に愛されなかった 辛い過去―――
すると 桐島くんは、そんな八重子の 心の苦しみに気づき、辛い過去ごと 八重子を包み込んで 深く愛し、「いつか沼田との結婚 予約させて」と プロポーズしてくれます。
そうして、“今” を変えることができた 八重子。
八重子は 八重子のことを救い、幸せにできたのです。
しかし、人生を切り開いたと実感できた その直後、突如 桐島くんの目の前で 八重子が倒れ、死んでしまい――――――!?
模擬結婚式のバイト後、一度 確かに 八重子は死んで、でも しばらくしたら 息を吹き返します。
だけど…… 目覚めた八重子は もう、昔の八重子では ありませんでした。
八重子の 全ての記憶は消えて、桐島くんとは ただの同級生になっていたのです。
桐島くんと付き合っていたことも ヤエちゃんがいたことも、全部 なかったことになっていました…。
なのに 桐島くんは、八重子から 忘れられてしまったにも関わらず、『良かった』と思っています。
『あんなに過去に苦しんでいた沼田は もう どこにも いないんだ』
『きっと過去は 良いほうに変わったんだ』
『これで 良かったんだ』
もちろん、八重子を好きだった桐島くんに 悲しみがないはずはありません。
しかし 現在の八重子と話していると、変わっていない所もあることに 気づきます。
『前と同じ沼田もいる』
『また1から 沼田を見てみようか』
『また1から 恋をしてみようか―――…』
……
ある日の 飲み会の帰り、2人で歩いている 八重子と桐島くん。
その時 八重子のバッグから なんと、過去が変わる前 ヤエちゃんのため 一緒に作った、ヘッドドレスの飾りが落ちました。
「―――あっ」
「それっ… お守りでっ」
「小さい頃からのっ ごめん ありがとう」
何でもないフリをするけれど、八重子に背を向けた桐島くんの目から 涙が流れます…。
ヤエちゃんと八重子と 3人で過ごした日々のことを思い出し、寂しさに襲われる 桐島くんですが―――!?
「い… いきなりで ごめんっ」
「あ… あのねっ」
「ずっと話そうって 思ってたんだけど… で…でも おかしな奴って思われるかな…って」
「ほら 前に 教会で桐島くんに色々言われてっ… “恋人”だったとかっ」
「あ… あれから夢に 桐島くん出てくるようになってっ…」
「ただっ なんか 赤ちゃん!?も 夢に出てきてっ」
「な… なんか ふたりで その子 育てて(!!!?)て!? あっ!! ごめんね 怖いよねっ で…でも とにかく赤ちゃんがいてっ」
「なんだろ 変だよね」
「でも妙に全部リアルで 夢じゃ無いみたいな… キ…キスとかも してたりとかっ」
「あれかな!? 桐島くんが つき合ってたとか言ったから それで意識しちゃって 変な夢見てっ…」
「合ってるよ その夢」
「オレたちはね 友達より 恋人より先に 始めたことが 沢山ある」
「それこそ キスより先に―――…」
……
八重子が倒れた あの日、幼き頃の自分を必死で育てた 八重子の頑張りを認め、神様が 過去を変えてくれました。
もう 可哀想な“ヤエちゃん”はいない… と、神様に言われた 八重子。
「ただ… 過去が変わったのじゃ」
「“今”の未来も 全て変わっておる… お主の記憶も…」
「…大丈夫じゃ」
「お主なら きっと…」
『忘れない』
『忘れない 忘れたりなんて するもんか』
『絶対 絶対 あたしは――――――…』
過去が変わる前の 八重子の決意どおり、桐島くんとの 大切な記憶を覚えたまま、八重子の過去は 良いほうに変わったのです。
そして、過去が変わって 八重子を赤ちゃんの頃から育ててくれた ご両親の願いどおり……
八重子は、大好きな人と家庭を築き 幸せになることができました――――――――――――