マーガレット 小森 みっこ 先生 著
第23話 4巻 マーガレット15号
約束の日 いよいよ当日、ついに 獅子丸と会えた 佑菜。
日和の案内で ドッグランへ行き、とても楽しい時間を過ごしました。
ところが お昼になり、日和だけ 併設のカフェへ行っているときのこと……
『人多いんだな 日曜日だもんね』
『カップルのデートにも 家族連れで遊びに来るにも ピッタリの良い所だもんね』
『お昼ごはんを買いに行ってもらって ベンチで食べる』
『他の人から見たら 私と日和くんも』
『デート…?』
『―――って何を思ってるんだ』
『…日和くん 楽しそうだったな』
『…正直私も すごく楽しい』
『日和くんが良い子で あまりにもまっすぐで』
『…それなのに私は… こんな事していいのかな』
「獅子丸は 良いご主人で良かったね」
「獅子丸?」
佑菜が ちょっとだけ目を離した隙に、どこかへ行ってしまった 獅子丸。
すぐに探し回る佑菜ですが 見つからず、戻ってきた日和に 必死で謝ります。
日和が「あいつすぐ戻ってきますよ」と言っても、佑菜の動揺は まったく収まりません。
走っていく日和の姿を 見送りながら、佑菜は 昔のことを思い出しました。
クロを飼っていた頃、さんぽ中に 菜々がリードを放して 逃してしまったことがあるのです。
迷い犬だったから 本当のご主人のもとへ帰ってしまったのではないか… もう二度と会えないんじゃないか…と、当時 まだ幼かった佑菜は 怖くなりました。
『あ…どうしよう この思い出は つらい』
『クロと獅子丸の話は 全然違うのに』
『関係ないって わかってるのに』
「佑菜 お父さんが見つけるから」
「おうちで待ってて」
「大丈夫だよ」
過去が重なり 深く沈んでしまう 佑菜のところへ、日和が戻ってきます。
腕の中に、ご機嫌な様子の獅子丸を しっかりと抱えて。
「―――佑菜さんっ」
「獅子丸 いましたっ つかまえましたよっ」
安心して、がくんっと膝が崩れる 佑菜。
クロも ちゃんと戻ってきてたことを 思い出しました。
「佑菜さん こっち見てください」
「ほら」
「大丈夫ですよ」
『獅子丸が無事で すごくホッとしたから』
『お父さんと 同じ事を言ったから』
『だからこんな感情が わきあがった』
『そう自分に 言いきかせてた』