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マーガレット 小森 みっこ 先生 著

第15話 3巻

佑菜からの連絡が 中途半端に途絶え、心配になった日和は 家を飛び出しました。

酔っ払いが多い 夜の駅前へ行き、どこかにあるはずの 佑菜がいる飲み屋を探します。

日和

『付き合ってもない  ましてやフラれた俺が』

『こうやって来る事』

『普通は おかしいと思うけど』

『…何もなかったら それでいい』

   ……

その頃、完全に酔いが回って 立っているのも やっと… という状態の 佑菜が、お店の外で 武田くんに迫られていました。

危なかったところを 助けてくれたのは――― 亜蘭です。

そして、亜蘭が 日和を連れて行こうとしたところを、目撃する 日和。

日和

『佑菜さ…』

『え!?  佑菜さんだよな!?』

亜蘭の胸に倒れ込む 佑菜の姿を見た 日和は、慌てて 駆けつけます。

こうして 日和と亜蘭の、初対面となりました。

日和

「―――あのっ」

「その人…知り合いなんですけど  何やってるんですか?」

亜蘭
「―――は?」
「―――誰おまえ」
日和
「誰って… そっちこそ…」

佑菜は 酔って寝ているだけ、と すぐに分かったため、日和と亜蘭の間で 揉めたりはしませんでしたが…

日和

『この「亜蘭」って人 佑菜さんの知り合い?』

『同じ大学って言ってたし』 『佑菜って呼んでたし』

『この感じだと 助けてもらってたって事?』

ただ、武田くんを追い払うため見せた 亜蘭の鋭い視線、亜蘭の ピリピリした気迫が、日和は 気になります。

日和
「あの… 佑菜さん運ぶの 手伝いますよ」
亜蘭
「…誰」
日和

「!」

「睡蓮高校2年  久瀬日和です  佑菜さんの後輩です」

亜蘭

「…睡蓮高… 「佑菜さん」  …ああ」

「おまえが 黒柴のガキか」

日和

「!」

「…た 多分そうです」

『佑菜さんこの人に 俺の話はしてるんだ』

『それ位の人…』

「あの… 佑菜さんとどういう…」
亜蘭
「おまえ佑菜に 惚れてんだ?」
日和
「!」
『なんでこの人が』

その時、寝ていた佑菜の 目が覚めて――――――!?

第16話 3巻

日和と亜蘭の間に 微妙な空気が流れていたことなんて、まったく知らない 佑菜。

なぜ ここに日和がいるのかを聞き、心配してくれたことへ感謝しつつも 「だめだよ夜に こんな所来ちゃ…」と注意します。

そして、亜蘭のことを 笑顔で紹介しました。

佑菜

「亜蘭くんは  私の幼なじみだよ」

「私の一つ年上で 同じ大学に通ってるの」

日和
「幼なじみ…」
佑菜
「うん  小学校から知り合いでね」
日和

『だからこんなに仲良いんだ』

『…でも』

『全然聞いてない  知らなかった』

『俺の事は 話してるのに』

……

もう10時過ぎ。佑菜は申し訳なさもあり 日和を家まで送ろうとするけれど、「酔っぱらいのおまえが 何言ってんだよ」と 亜蘭が止めます。

佑菜の性格を よく理解していて、佑菜の母親からも信頼されている 亜蘭。

そんな亜蘭にだけ見せる 佑菜の表情を、見てしまった 日和は―――

日和

『なんで 「俺だけ」なんて 思ったんだろう』

『なんで一番に考えなかったんだろう』

『俺以外にも  佑菜さんが見せる 表情(かお)がある』

『この人の事は 幼なじみって言ってたけど』

『他の男は?  今までは?』

『20歳(ハタチ)だから そんなのいくらでも いたかもしれない』

『そんな事に 今更気付くなんて』
『自分の気持ちで いっぱいいっぱいで』
『俺は…』

せめてタクシー代だけでも 払わせてほしい、と話す 佑菜に対し、はっきりと拒否する 日和。

好きな人との年齢差を 改めて感じ、苛立ちを隠せません……

日和

「…お酒とか 飲み会とか…  俺はそういうの よくわかんないけど」

「今の佑菜さんは  ―――嫌です」

そう言って、日和は 帰ってしまいました。

亜蘭
「ガキに引かれてんじゃん 世話ねぇな」
佑菜
「…本当 世話ないね  失望させちゃったかも」
『…フッたくせに  勝手だな 私…』

さっきまで 楽しかったのに、という 切ない気持ちを残し、佑菜と日和が出会ってから初めての夏は 終わりを迎えます――――――

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