マーガレット 小森 みっこ 先生 著
第20話 4巻 マーガレット10・11号
日和を見つけた瞬間、大きな声で 日和の名前を呼ぶ 佑菜。
すると 他の生徒に注目されてしまいます。
興味津々で面白がり 追いかけてくる野次馬を まくため、日和と佑菜は 誰もいない教室へ。
結果的に ふたりきりになれました。佑菜にとって 今がチャンスです。
―――だけど 気まずい空気が流れているせいで、佑菜は 日和に伝えたいことを 言葉にできません。
走っていたせいか 緊張のせいか、心臓が ドキンドキンと脈打つばかりで、「ごめんなさい」と「ありがとう」を 言えません…。
そうしているうちに、後夜祭の時間になってしまいます。
日和の大切な思い出を 奪いたくない佑菜は、「私の事はいいから 行って」と言いました。
でも、日和の気持ちとしては 後夜祭へ急いで行くより 佑菜とのことを優先したくて……?
「―――なんなんですか 佑菜さん」
「さっきから 全然わからないです」
「あんな…大声で 俺の事呼んだクセに ずっと空気は 気まずいままで」
「今度はもう行けって言ったり… 何がしたいんですか?」
「この感じ スゲー嫌です」
「イライラする」
「…俺が どう思ってるか わかりますか佑菜さん」
「もう耐えられないです」
「佑菜さんが今 何がしたいかなんて 知らないけど」
「俺は」
「夏休み以来… やっと会えたのに やっと顔見れたのに」
「ずっと気まずいままで 上手くしゃべれないの嫌です」
「もっと話したいし また…一緒にいたりとかしたいのに」
「こんな状態 つらいです」
日和くんは怒っていて きっと『佑菜さんの事 もう好きじゃない』って思ってる――― と 思っていた 佑菜にとって、日和の言葉は とても予想外。
そもそも別にケンカをしていた訳ではないし ましてや日和が悪い訳でもないけれど、佑菜との距離感を 元に戻したくて 必死な日和は、「仲直り」という表現しか 思い浮かばなかったようです。
『ああそっか はじめから そうすれば良かったんだね』
『まっすぐで 素直な』
『年下の男の子に 教えられた』
「…私もね」
「日和くんと 仲直りしたいです」