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マーガレット 小森 みっこ 先生 著

第10話 2巻

佑菜と1日 一緒に働くことになった 日和。

昼間は 遊園地のスタッフとして 頑張っていましたが、夜はナイトプールで ドリンクの販売を担当することに。

残念ながら 佑菜は、日和がいる販売所とは 別の店で働いています。

とはいえ、同じ敷地内にはいるので 少し話せるタイミングもありました。

ちょうど その時 花火が打ち上げられ、バイト中ではあるけど 佑菜と花火を見ることができて、喜びを感じる 日和です―――

バイト終了後、佑菜から 日和に声をかけて、感謝を伝えます。

そして、剣道の大会で忙しかった日和に 貴重な休みを使わせてしまったことを、佑菜が 謝ると……

「いえ 休みあっても  夏はいつも剣道ばっかり やってて…」
『それが俺だった』

「でも今日 佑菜さんと働いて 犬耳つけたり  迷子見つけたり」

「こんな経験 今までになかったから」

「俺は  今日 楽しかったです」

『こんなに長く 一緒にいられた』
「…それなら 良かった」

そのあと、佑菜は 日和へのお礼として、かき氷を持って来てくれました。

そんな佑菜の気持ちが、嬉しくてたまらない 日和。

周りに誰もいない プールサイドで、もらった かき氷を 食べます。

すると、隣に座る佑菜が 急に、「…いい子だなあ 日和くんは」と言ったのです。

「優しいよね  正義感あって 誰かを助けたり」

「人の事放っておけない性格なのかな  きっと皆に信頼されてるんだね」

「いっつも助けられてる ありがとうね」

『人の事放っておけない?  …違う』

『どうやったら もっと…って』

「…俺はそんな いい子じゃないです」
『そんなキレイな事 考えてない』

「…今日の事は 全部」

「佑菜さんだから やったんです」

『こうやって すこしずつ  ゆっくり… いくんだ』

   ……

日和の言葉を、そこまで深くは受け止めていない様子の佑菜に 不運なミラクルが起こりました。

なぜか、佑菜の頭に セミがとまったのです…。

びっくりして バランスを崩し、プールの方に倒れる 佑菜を助けるため、日和は 佑菜の腕を掴みます。

しかし 間に合わず、2人 一緒に、プールの水の中へと 落ちてしまいました。

すると、佑菜は「こんな事ある!?」と言って ものすごく楽しそうに はしゃぐのです。

怒られてしまう、と言いつつ 今までにない経験に 高揚感を抑えられないのか、日和を見つめ 笑うのです―――

『すこしずつ ゆっくり』

そう思っていた 日和だけど、想いが溢れて こぼれてしまい…………

「…好きです」
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