マーガレット 小森 みっこ 先生 著
第3話 1巻
もう会うことはないと思っていた 高校生の男子、久瀬日和と再会した 佑菜。
日和がイケメンだということに 気づいた後も、特に意識することなく 接しています。
「えっ? あ! あそこ!? 覚えてる!」
「道着? 着た小学生 見かけてた! 可愛いなって そっか あそこだったんだ」
「じゃあ日和くんは 小さい頃から剣道やってるんだね」
「そういえばウチの学校の剣道部って強かったよね!」
「あたし高校の頃 家の事とかあって 部活入ってなかったけど」
「皆楽しそうだなって 見てたんだ」
「…また発散したくなったら いつでもどうぞ」
「…道場だいたい 開いてるし 俺も毎日いるし…」
道場で素振りしたことは ちゃんと覚えている佑菜は、酔っ払っていた自分を「恥ずかしい」と思っていて―――
『久しぶりにお父さんの事思い出して 知らない人の前で あんな姿見せるなんて』
『知らないから 逆に出来たのかもしれないけど…』
……
夜ごはんを作らなきゃいけないから、という理由で 佑菜は帰っていきました。
妹が家で待ってるし 親は仕事だからと言った佑菜を、引きとめることなんて できなかった日和ですが……?
『…もう行った あっさりと』
『はじめて会った時も 妹が――って言ってたし 苦労人…?』
『…帰るか』
『普通に話してる時は よくしゃべるし 年上なんて感じ しないけど』
『…違う』
『ウチのクラスには いない 他の誰とも違う 見た事ない』
『次?』
『…いや今日は偶然 会っただけで 元々は何も関係ない人』
『次なんてない』
夏川佑菜のことを もっと知りたい、また会いたいと思う 日和は、またも偶然 あるチャンスを掴み――――――!?
第4話 1巻
バイトに向かおうとしていた 佑菜のスマホに、妹の菜々から 電話がかかってきます。
しかし、電話の相手は なぜか菜々ではありません。とある薬局の 店長からでした。
なんと 菜々が万引きをしたから、お姉さんに来てほしい という連絡だったのです。
シフトを教えていたため、この日 バイト先のカフェに日和が来るだろうことは 分かっているけれど、行くわけには いかなくなってしまいました。
すぐに店へ 連絡を入れて、急用ができたので シフトを代わってもらうことにした報告と、「黒柴を連れた 高校生の男の子」への伝言をお願いする 佑菜。
ところが、その時すでに 日和は来店していたのに、たまたま席を外していたせいで 伝言は伝わらなくて―――
急いで 菜々のもとへと向かった 佑菜ですが、実は 菜々に万引の疑いをかけた薬局の店長は 最低の人で、冤罪だったことが 判明。
その薬局の 従業員さん達のおかげで、菜々は助かり 何とか事なきを得たものの……。
佑菜に 何が起こっていたか、知る由もない日和は カフェで待ちぼうけ。夜になってしまいました。
「…あの… 今日夏川佑菜さん 来てませんか?」
「…俺 佑菜さんの高校の後輩で…」
店内にいた従業員さんに 聞いてみる日和。そうして ようやく、佑菜から「お休みする」という 連絡が入っていたことを知ります。
代わりにシフトに入った その方も、佑菜に何があったのかまでは 聞いていません。
また 電話メモに気づいていないため、佑菜から 日和への伝言も、結局 伝わらないままです。
店を後した 夜の帰り道、佑菜と会いたい気持ちが さらに高まる日和の胸は、『…きゅう』と 締めつけられて――――――