別冊マーガレット12月号の 恋のようなものじゃなく 1話の感想です
恋のようなものじゃなく ♯1 南 塔子 先生 著
ネタバレありの感想です。ご注意ください!
中学3年生の女の子 未仁(みに)は、進学を希望する学校の 見学を兼ねて、文化祭へ行きました。
そこで、あるトラブルに 巻き込まれてしまいます。
危険な目に遭うところだった未仁を 助けてくれたのは、見知らぬ 男の子。
未仁の手にできていた かすり傷を、持っていた 新しいハンドタオルで保護してくれる 優しい子です。
彼の名前も学校も 分からないけれど、同じ 中3ということは 知ることができた 未仁。
そして きっと、彼も この学校を受験する。
去っていく 彼の姿を眺める 未仁の胸は、ドキンドキンと 高鳴っていました――――――
春、受験を乗り越え 無事に高校生になり、入学して 2週間ほど経った ある日、未仁は 男の子と 再会を果たせます。
残念ながら 男の子は 未仁のことを覚えていなかったのですが……
未仁が 借りたままのハンドタオルを返して 去年の文化祭でのことを話すと、思い出してくれました。
『よかった 会えて』
『去年から気になったままだった ハンドタオルが返せて』
『お礼が言えて よかった』
『違う学校にいってなくて よかった』
……
学校の帰り道に 人助けをした 未仁は、いつもとは違う駅で降りて 歩いています。
その際、たまたま通った道に とても良さそうな美容院を見つけました。
ちょうど 髪を切ろうと思っていたので、お店の女性に誘われるまま 中へ入った 未仁。
すると びっくり!! そこには あの男の子がいたのです!!
実は、その美容院は 彼のお家。たまにバイトで かりだされるんだ、とのこと。
同級生の男の子に シャンプーをしてもらうことになって、とても緊張していた 未仁だけど いざ始まると、男の子の腕が良いし 笑って話しかけてくれるので、思わず「気持ちいいー…」と言ってしまうほど リラックスできました。
「それはよかった」
「―――」
「………さっき」
「恋する資格がない って言ってたみたいだけど…… なんで?」
「―――前に」
「自分の気持ちが わかってないまま 男の子とつきあって」
「すごく…… 傷つけてしまったことがあるんです」
『私さえちゃんと わかっていれば あんな風に傷つけずに 済んだのに……』
『わからない きっと今も だから』
「だから私は」
「もう恋する資格なんて ないん」
「で……」
男の子は 未仁の両頬に触れ、未仁を じっと見つめ、「そんなことない そんなことは ないよ」と言ってくれます。
「それは 間違えただけだ 間違いは 誰にだって あるよ」
「傷つけようとして わざとしたわけじゃないんでしょ?」
「だったら そんなに責めないで」
「自分のこと 許してあげなよ」
「そうだな さしあたって きみは」
「恋する資格は 全然有り」
「たとえ他の奴が 全員無いって 反対したとしても――――――」
「俺が許す」
再び、未仁の胸が 高鳴り始めました。
未仁は キラキラした表情で 自己紹介をして、そして 彼の名前を 尋ねます。
出会ってから 半年以上も経って ようやく、男の子は「楠瀬 千耀(くすのせ ちあき)」という名前だと 知ることができたのです。
このドキドキが『恋のようなもの』なのか 『恋』なのか、まだ 分からないけれど、あの人のことを もっと知りたいと思う、未仁。
一方 千耀は、「みに」という名前に 聞き覚えがあるようで…………!?